和食の基本|だしのとり方完全ガイド

昆布・かつお・いりこを使いこなすコツと保存法まで


はじめに|だしとは何か?

和食において「だし」は料理の土台となる重要な要素です。
旨み・香り・深みを料理に与え、素材の味を引き立ててくれます。
本記事では、以下の内容を詳しく解説していきます。

  • 昆布・かつお節・いりこ(煮干し)の基本
  • 一番だしと二番だしの違い
  • それぞれのだしの取り方
  • 味の比較と使い分け
  • 保存方法と活用例

だしの種類と特徴

昆布だし

  • 主な旨味成分:グルタミン酸
  • 特徴:まろやかで上品な味わい
  • 向いている料理:吸い物、炊き込みご飯、煮物

おすすめの昆布:

  • 真昆布(北海道産):上品で澄んだ味わい
  • 利尻昆布:香り高く、濁りにくい
  • 羅臼昆布:濃厚でコクが強い

かつおだし

  • 主な旨味成分:イノシン酸
  • 特徴:香りが強く、味にキレがある
  • 向いている料理:味噌汁、そばつゆ、煮物全般

おすすめのかつお節:

  • 本枯節:発酵熟成された最高品質
  • 荒節:家庭用に使いやすく、香りが強め

いりこだし(煮干しだし)

  • 主な旨味成分:イノシン酸+カルシウム
  • 特徴:旨みが強く、少しクセがある
  • 向いている料理:味噌汁、うどんつゆ、地方の郷土料理

選び方のポイント:

  • 内臓を取っておくとクセが少なくなる
  • 頭も取るとすっきりした味わいに

一番だしと二番だしの違い

種類 特徴 用途
一番だし 昆布+かつお節を一番最初に煮出したもの 吸い物・茶碗蒸しなど上品な料理
二番だし 一番だしの残り素材を再度煮出したもの 煮物・味噌汁など味が強めの料理

一番だし・二番だしの違い

ICHIBAN DASHI
一番だし

素材 昆布 + かつお節(新鮮)
火加減 弱火〜中火・短時間
かつお節は2分以内
澄んだ薄い琥珀色
香り・旨み 華やか・繊細・すっきり
使い道 吸い物・茶碗蒸し
お浸し・だし巻き卵

NIBAN DASHI
二番だし

素材 一番だしの出がらし
火加減 弱火でじっくり
5〜10分ほど煮出す
やや濃いめの茶色
香り・旨み まろやか・コクがあり力強い
使い道 味噌汁・煮物
炊き込みごはん・うどん

一番だしは「見せる料理」に、二番だしは「味を支える料理」に使うのが和食の基本です。


昆布だしのとり方

材料(約800ml分)

  • 水:800ml
  • 昆布:10g

作り方

  1. 昆布をかるく拭き、水に30分~一晩浸けておく(冷蔵庫可)
  2. 弱火にかけてじっくり温める
  3. 沸騰直前(小さな泡が出始めた頃)に昆布を取り出す

ポイント: 沸騰させないことでぬめりや雑味が出にくく、澄んだだしに仕上がります。


かつおだしのとり方(基本の一番だし)

材料(約800ml分)

  • 水:800ml
  • 昆布:10g
  • かつお節:20g

作り方

  1. 昆布だしをとり終えた後、火を強めて沸騰させる
  2. 火を止め、かつお節を一気に加える
  3. 約2分置いて、沈んだらキッチンペーパーなどで濾す

ポイント: かつお節を煮すぎないのが澄んだだしのコツ。


いりこだしのとり方

材料(約800ml分)

  • 水:800ml
  • 煮干し(頭と内臓を取ったもの):20g

作り方

  1. 煮干しを水に入れ、1時間〜一晩おいておく
  2. 弱火でゆっくり温め、沸騰前にアクを取りながら煮出す
  3. 濾して完成

ポイント: 前日に仕込めば、朝の味噌汁もすぐ作れます。


保存方法と活用

  • 冷蔵保存:3日以内(密閉容器使用)
  • 冷凍保存:製氷皿に小分け→密閉袋で1ヶ月保存可
  • 活用例:
    • ご飯を炊くときに入れる
    • 野菜の煮びたしに
    • うどんやお吸い物のベースに

まとめ|料理に合わせただし選びを

料理ジャンル おすすめのだし
吸い物・茶碗蒸し 昆布+かつおの一番だし
味噌汁 いりこだし/二番だし
煮物 かつおだし or 昆布+いりこ
ご飯もの 昆布だしベース

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父の背中から学んだ、だしのとり方

子どもの頃、毎朝台所に立つ父の姿が記憶に残っています。毎日欠かさず、一番だし、二番だしと丁寧にかつお節からだしをひいていました。その香りが漂ってくると「朝が始まった」という感覚があって、今でもかつお節の香りをかぐとあの台所を思い出します。

小さな頃、父のまねをして小さな鍋でだしをとってみたことがあります。見よう見まねでかつお節を入れたものの、できあがりは濁った茶色いお湯。「なぜ?」と首をかしげながらも、何度か試みました。当時はまだ「一番だしとは何か」という概念を理解していなかったのです。

失敗して気づいた、一番だしの繊細さ

一番だしが濁ってしまう失敗は、料理を本格的に学んでからも何度かありました。原因はほとんどの場合、火加減と時間。沸騰させてしまったり、かつお節を入れたまま長く置きすぎたりすると、えぐみや雑味が出て澄んだだしになりません。

「煮ればいいわけではない」——これがだしの奥深いところです。素材の旨みをそっと引き出す、その加減を体で覚えるまでには時間がかかりました。今でも、澄んだ琥珀色の一番だしが鍋にできあがった瞬間は、小さな達成感があります。

昆布・かつお・煮干し——素材が変われば、だしが変わる

昆布、かつお節、煮干し。それぞれ入れるタイミング、取り出すタイミング、火加減がまったく異なります。昆布は沸騰前に取り出す、かつお節は火を止めてから入れる、煮干しは水から弱火でじっくり——その違いを体で覚えてから、だしの色・香り・澄み具合が別物になりました。

そして何より、市販のだしパックや顆粒だしとの決定的な違いは「素材そのものの旨み」です。天然だしは口の中に広がり方がやさしく、後味がすっきりしています。手間はかかりますが、この違いを知ってしまうと、毎日のお味噌汁がごちそうになります。ぜひ一度、丁寧にだしをひいてみてください。