和食の美味しさは「五味(ごみ)」と呼ばれる基本の味——甘味、塩味、酸味、苦味、旨味——の絶妙なバランスによって生まれます。本記事では、それぞれの味の特徴と活用方法、味つけの黄金比、家庭で実践できる調味のコツを紹介します。
五味とは?それぞれの味の役割
甘味(あまみ)|料理にやさしさと深みを
- 主な調味料: 砂糖、みりん、甘酒、はちみつ
- 役割: 苦味や酸味をやわらげ、味にまろやかさを加える。
- 例: 煮物、だし巻き卵、照り焼き
塩味(えんみ)|味を引き締める軸
- 主な調味料: 塩、醤油、味噌
- 役割: 味全体の輪郭を決め、素材の旨味を引き出す。
- 例: 味噌汁、焼き魚、漬物
酸味(さんみ)|さっぱり感や後味のキレを
- 主な調味料: 酢、梅干し、柑橘果汁
- 役割: こってりした料理の口直しや食欲増進に。
- 例: 酢の物、南蛮漬け、和風ドレッシング
苦味(にがみ)|味に奥行きと季節感を
- 主な素材: 山菜(ふきのとう、たらの芽)、柚子の皮、菜の花
- 役割: 味の中にアクセントを加え、食の奥行きを広げる。
- 例: 春野菜のおひたし、天ぷら、白和え
旨味(うまみ)|料理の深さと一体感を
- 主な調味料: 昆布、かつお節、干し椎茸、味噌、醤油
- 役割: 素材の風味を底上げし、料理全体の調和を保つ。
- 例: だし、炊き込みご飯、煮物全般
味つけの黄金比|和食の味は「さしすせそ」で整う
- 砂糖(さ) → 塩(し) → 酢(す) → 醤油(せ) → 味噌(そ)
- この順番で味つけすると、調味料の効果が最大限に活きるとされています。
- 砂糖やみりんなどの甘味を先に加えることで、素材にしっかり染み込み、他の味のなじみも良くなります。
👉 和食の基本 さしすせそ|味つけの順番と風味の知恵・おすすめ調味料も紹介
実践編|味つけを整えるコツとバランス感覚
1. 五味の組み合わせ例
- 例1:甘 + 塩 + 旨 → だし巻き卵
- 例2:酸 + 旨 + 塩 → 酢の物
- 例3:甘 + 苦 + 塩 → 春野菜の白和え
2. 料理別 味の配合例(2人分)
料理 | 配合の一例 |
---|---|
煮物(根菜) | だし200ml、砂糖大さじ1、醤油大さじ1.5、みりん大さじ1 |
酢の物 | 酢大さじ2、砂糖大さじ1、薄口醤油大さじ0.5 |
味噌汁 | だし400ml、味噌大さじ2(具材によって調整) |
📝 調味料計量早見表はこちら →
名称 種類 大さじ1(ml/g) 小さじ1(ml/g) 砂糖(上白糖) 基本(さ) 約9g 約3g 塩 基本(し) 約18g 約6g 酢 基本(す) 約15ml 約5ml 醤油 基本(せ) 約18ml 約6ml 味噌 基本(そ) 約18g 約6g みりん 和風調味料 約18g 約6g 酒 和風調味料 約15g 約5g 白だし 和風調味料 約18g 約6g ポン酢 和風調味料 約15g 約5g 出汁(液体) 和風調味料 約15g 約5g 柚子胡椒 薬味・調味料 約6g 約2g わさび(チューブ) 薬味 約6g 約2g 七味唐辛子 香辛料 約2g 約0.7g 山椒(粉) 香辛料 約2g 約0.7g 梅干し(1粒) 調味料/副菜 約10g(1粒) ― おろししょうが 薬味 約6g 約2g おろしにんにく 薬味 約6g 約2g おろし大根 薬味 約15g 約5g すりごま 薬味 約6g 約2g 刻みねぎ 薬味 約6g 約2g 白米(うるち米) 主食 約13g 約4.3g もち米 主食 約13g 約4.3g 卵(1個) つなぎ・素材 約50~60g ― 片栗粉 つなぎ・素材 約9g 約3g 小麦粉(薄力粉) つなぎ・素材 約9g 約3g 三温糖 糖類 約12g 約4g 黒糖(粉状) 糖類 約9g 約3g 蜂蜜 糖類/液体 約21g 約7g ケチャップ 洋風調味料 約18g 約6g マヨネーズ 洋風調味料 約12g 約4g 牛乳 食材/液体 約15g 約5g オイスターソース 中華調味料 約20g 約7g 中濃ソース 洋風調味料 約18g 約6g ごま油 油 約12g 約4g サラダ油 油 約12g 約4g オリーブオイル 油 約12g 約4g
アレンジを楽しむ|味の調整ポイント
- 甘すぎた場合 → 酢や苦味で中和
- 塩気が強い場合 → だしや水で薄める+酸味を加える
- 味がぼやける → 醤油か塩で引き締める or 酢でアクセント
和食の味を決める「だし」の重要性
旨味のベースである「だし」を制する者が、和食の味を制します。
- 昆布・かつお節・煮干し・干し椎茸など、料理に応じて使い分けましょう。
まとめ|五味を知れば味つけが変わる
五味を理解することで、和食の味づくりは格段にレベルアップします。基本を押さえていれば、季節や食材に合わせた柔軟な味つけもできるように。家庭の和食がより美味しく、健康的で、楽しいものになるでしょう。