日本には、四季折々の自然と共に受け継がれてきた「行事食(ぎょうじしょく)」の文化があります。年中行事や二十四節気に合わせて食べられる伝統料理には、季節の移ろいを感じ、家族の健康や繁栄を願う想いが込められています。
本記事では、二十四節気や年中行事にまつわる行事食を12選ご紹介し、それぞれの由来、レシピ、作り方のポイント、関連記事まで丁寧に解説します。
🌿 二十四節気とは?
二十四節気(にじゅうしせっき)は、太陽の動きをもとに1年を24等分して季節の節目を示す暦の考え方です。
例えば「春分」「夏至」「立秋」「冬至」などが有名で、古くから農作業の目安や年中行事と結びついてきました。
和食の行事食12選
① おせち料理(正月|1月1日)
由来・意味: 新年の幸福と無病息災を願う祝い膳。「数の子」「黒豆」「田作り」など一つひとつに意味が込められています。
材料・作り方例(数の子): ※『和食の基本お祝い料理10選』より引用
- 数の子(塩蔵):4〜5本
- だし:200ml
- 薄口醤油:大さじ2
- みりん:大さじ1
- 酒:大さじ1
- 数の子は一晩水に浸して塩抜きし、薄皮を丁寧に取る。
- 調味料を混ぜてひと煮立ちさせ、冷ます。
- 数の子を漬け汁に入れ、半日〜一晩漬け込む。
ポイント: 数の子は塩抜き加減が味の決め手。皮をやさしく剥がして見た目も美しく。
② 七草がゆ(1月7日|人日)
由来:無病息災を願って春の七草(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)を入れて食べます。
材料(2人分):
- ごはん…茶碗2杯分
- 水…400ml
- 春の七草セット…適量
- 塩…少々
作り方:
- 七草はさっと茹でて細かく刻む。
- 鍋に水とごはんを入れて中火にかけ、柔らかくなるまで煮る。
- 七草を加えて軽く煮て塩で調味。
ポイント:前日のごちそうで疲れた胃を休める優しい味わい。七草はスーパーでセットになって販売されることも多いです。
③ 節分の恵方巻(節分|2月3日頃)
由来・意味: その年の恵方に向かって願い事をしながら無言で一本丸かぶりする縁起巻き寿司です。
材料(2本分):
- ご飯:400g
- 酢飯用すし酢:大さじ2
- 海苔:全形2枚
- 卵:1個
- かんぴょう煮、しいたけ煮、きゅうり、桜でんぶ、でんぶ、焼き穴子など:適量
作り方:
- ご飯にすし酢を混ぜて酢飯を作る。
- 卵を焼いて厚焼き卵を作る。
- 巻きすに海苔を置き、酢飯を均等に広げる。
- 具材を真ん中に並べて巻き、しっかり形を整える。
ポイント: 具材をバランスよく配置することで、食べやすく見た目も美しく仕上がります。
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④ ひな祭りのちらし寿司(上巳の節句|3月3日頃)
材料(2人分):
- ご飯:400g
- すし酢:大さじ2
- 卵:1個
- れんこん(薄切り):4枚
- きゅうり:1/2本
- ボイルエビ:4尾
- しいたけ煮:適量
- 桜でんぶ、いくら:適量
作り方:
- ご飯にすし酢を混ぜ、酢飯を作る。
- 卵を溶き、薄焼き卵を焼いて錦糸卵にする。
- れんこんは甘酢で下味をつける。
- 酢飯の上に錦糸卵、具材を彩りよく盛る。
ポイント: 食材の彩りに気を配り、盛り付けを華やかに仕上げましょう。
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⑤ 春分のおはぎ(春お彼岸|3月20日頃)
由来:春のお彼岸には、あんこを使ったおはぎ(ぼたもち)を食べて先祖供養。
材料(6個分):
- もち米:1合
- こしあん:200g
- きな粉:大さじ2
- 砂糖:小さじ1
- 塩:少々
作り方:
- もち米を洗って30分浸水し、炊飯。
- 炊きあがったら軽く潰して6等分。
- あんこを包んだり、表面にあんを塗る。
- きな粉には砂糖と塩を混ぜてまぶす。
ポイント:春はこしあん、秋はつぶあんを使うのが一般的。
炊いたもち米は潰しすぎない程度にすることで食感が残ります。
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⑥ 端午の節句の柏餅(5月5日)
由来:男の子の健やかな成長を願う日。柏の葉に包まれた餅を食べる。
ポイント:柏の葉は「新芽が出るまで葉が落ちない」縁起の良さから使われます。
⑦ 七夕そうめん(七夕|7月7日頃)
材料(2人分):
- そうめん:200g
- オクラ:2本
- にんじん(星型):適量
- 錦糸卵:適量
- めんつゆ(希釈):適量
- 氷水:適量
作り方:
- そうめんを茹でて冷水でしめる。
- オクラは塩茹でして輪切り、にんじんは型抜きして茹でる。
- 盛り付けてめんつゆを添える。
ポイント: 星形の野菜で七夕らしい涼やかな演出が楽しめます。色付そうめんも◎
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⑧ お盆の精進料理(8月13~16日)
由来:ご先祖を迎える行事。肉や魚を避け、野菜を中心とした精進料理が供されます。
おすすめレシピ:なすの煮びたし、煮豆、炊き込みご飯など。
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⑨ 秋の実り炊き込みご飯(秋分|9月下旬)
材料(2合分):
- 米:2合
- きのこ(しめじ・舞茸など):100g
- さつまいも:100g
- にんじん:1/3本
- だし:400ml
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ1
作り方:
- 米は研いで30分浸水。
- 材料を一口大に切る。
- 炊飯器にすべて入れて炊く。
ポイント: 具材は季節のきのこや根菜をお好みで。
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⑩ 月見団子(中秋の名月|9月中旬〜10月上旬)
由来・意味:
旧暦8月15日の「中秋の名月」は、美しい満月を愛でる日本の伝統行事。月に豊穣を祈る風習から、白く丸い団子を供える習わしが生まれました。団子は満月に見立てられ、十五夜には15個供えるのが一般的です。
材料(約10個分):
- 上新粉:100g
- ぬるま湯:約80ml
- 砂糖(お好みで):大さじ1
- きなこ、あんこ、黒みつなど:お好みで
作り方:
- ボウルに上新粉を入れ、ぬるま湯を少しずつ加えながらこねる。耳たぶ程度の柔らかさに調整する。
- 生地を10等分し、丸める。
- 鍋に湯を沸かし、団子をゆでる。浮かんできたらさらに1~2分茹でてから取り出し、冷水にとる。
- 水気を切って皿に盛り、お好みできなこやあんこ、黒みつなどを添える。
ポイント:
団子を丸める際にひび割れができないよう、しっかりこねて表面をなめらかに整えるのがポイントです。時間が経つと固くなるので、できたてを楽しむのが◎。
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⑪ 冬至のかぼちゃ煮(冬至頃|12月22日頃)
由来:1年で最も日が短い日に、栄養価の高いかぼちゃを食べて無病息災を願う。
レシピ例:
- かぼちゃ…300g
- だし汁…200ml
- 砂糖…大さじ1
- みりん…大さじ1
- 醤油…小さじ2
作り方:
- かぼちゃは一口大に切る。
- 調味料とともに鍋に入れて中火で煮る。
- 柔らかくなったら完成。
⑫ かぶら蒸し(冬至頃|12月22日頃)
材料(2人分):
- かぶ:2個
- 白身魚(鱈など):2切れ
- 卵白:1個分
- だし:200ml
- 薄口醤油:小さじ1
- みりん:小さじ1
- わさび・ゆず皮:適量
作り方:
- かぶをすりおろし、水気を軽く切る。
- 卵白を泡立て、かぶと混ぜる。
- 白身魚に塩をふって蒸す。
- 上からかぶらをかけて蒸し、あんをかける。
ポイント: ふわっとした蒸しあがりに仕上げるのがコツ。
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📝 まとめ|行事食は心をつなぐ日本の知恵
行事食は、ただの食事ではなく「人と人をつなぎ」「季節を感じ」「文化を継承する」ものです。
ご家庭でも少しずつ取り入れてみることで、毎日の食卓がもっと豊かに、楽しくなるはずです。
また、こうした行事食はインバウンド観光でも注目されています。海外の方にとっては、日本の伝統や文化を体験できる貴重な食の入口にもなっています。